AT/F-001 Fuzz

近年では、良質なゲルマニウムトランジスタの入手が極めて難しくなってきました。

 伝説的な名機に搭載されていたAC128や、OC44はますます枯渇し、よしんば入手することができたとしても、それが良質のFUZZを生み出すことができる特性をもつ個体とは限らないのです。

 また、ゲルマニウムトランジスタは部品そのものの選定も現代の安定したシリコントランジスタと比べむずかしく温度によっても動作が安定しない極めて不安定な技術の時代の産物です。

 現在は、いったいいくつのそれらのゲルマニウムトランジスタが良質なFUZZを作るのに適している個体が残っているかもわからず。(代表的な上記の2つは、すでに入手が難しく同じ系統のゲルマニウムトランジスタへ置き換えているメーカーもあります。
 しかし、同じゲルマニウムトランジスタであれば、AC128やOC44といった、かつてのゲルマニウムトランジスタと同じ音がでるわけではないという難しさもFUZZは抱えています。

 また、どの程度の数のゲルマニウムファズが、入手難易度の高い(同時に単価が高いことを意味します。)
きっちりとした方法で選定されたゲルマニウムトランジスタを使用しているのかもむずかしいポイントの一つです。

 従来の方法で正しく製造されたゲルマニウムファズのクローン達は、ポジティブグラウンドと呼ばれる仕様で現代的なエフェクターとのパワーサプライの共有ができなかったりします。(この問題を解決するためにネガティブグラウンドにするためのICをいれたものや、回路の電源位置をいじっているものもあります。しかしそれらは完全な再現とはいえず、ICによる新たな電源ノイズの問題を生み出したりもします。)

 今回私達が提案させていただきますFUZZはあえて動作が安定せず、選定すら不安定なゲルマニウムトランジスタは使わず、かといって現代的なギター側のヴォリュームを絞った状態でもクリーンを得にくいハイゲインなシリコントランジスタは使用せず。ギター側のヴォリュームを絞った状態においては鈴なりのようなクリーンを得られ、VOLをあげればFUZZらしい歪が得られるFUZZサウンドを得られるシリコントランジスタを発見しました。(トランジスタの外観から、ビンテージBIG M〇FFでの内部で見たことがある!と博識の方ならお気づきいただけるかと思いますが、FS36999や2N5133ではありません。)

 苦肉の代替ゲルマニウムトランジスタではなく、この安定したシリコントランジスタを使用し、トランジスタ1個体ごとに合わせた調整を行い。
ある意味ではファズの黄金律ともいえる内部定数のセオリーをあえて破り、理想のファズサウンドを追求しました。

 安定した品質と、現代的な使用感の両方を兼ねそろえたファズをお楽しみください。